これまでの活動 2003年度

住環境ワークショップ
第1回「環境共生住宅の考え方」

日時 2003年8月28日(木) 14:00-16:20
場所 滋賀県立大学交流会館
参加者 13名
講師・コーディネーター 林昭男(滋賀県立大学名誉教授、建築家)
伊丹清(滋賀県立大学環境科学部(環境・建築デザイン専攻)講師)

オリエンテーション(林先生)

これまでエコ村ネットワーキングでは、シンポジウム・セミナーを行ってきましたが、講師中心で出席者の意見が反映されないことが多かったと思います。
今回は人数も少ないということなので、向かい合ってゆっくり話をしていきましょう。

★ テキストとテーマについて

『環境共生住宅―建築・計画編―』ケイブン出版
監修/建設省住宅局住宅生産課 編集/地球環境・住まい研究会
環境共生住宅をつくっていく上で、重要なポイントがわかりやすく書いてある。

5回のセミナーのテーマ(予定)は、

  • 第1回 8月28日(木)「環境共生住宅の考え方」
  • 第2回 9月25日(木)「環境共生住宅の基本要件と実現手法(1)」
    ---地球環境の保全にかかわる手法---
  • 第3回10月30日(木)「環境共生住宅の基本要件と実現手法(2)」
    ---周辺環境との親和性にかかわる手法---
  • 第4回11月27日(木)「環境共生住宅の基本要件と実現手法(3)」
    ---住環境の健康・快適性にかかわる手法---
  • 第5回12月25日(木)「まとめ」

私は、建築計画、デザインの分野で、設計を仕事にしてきたが、建築界では10年位前まで建築が環境にどのような影響を与えるかということには配慮がなかった。しだいに地球環境問題が深刻化してきて、それぞれが建築に何らかのかたちでつながっているということも明らかになってきて、計画するとき、環境に配慮していかなくてはならないということが、ここ10年くらいでいわれてきた。ここ2、3年でかなり研究・実行されるようになってきたものの、まだ積み重ねは少ない。現在では、設計するにあたって環境への影響を考慮せざるを得ない。
伊丹先生は、建築の中でも環境工学という分野で、光や熱といった建築をつくっていくときの基本要素から環境を考えておられる。私はやや総論的だが、伊丹先生は環境共生住宅の要素をじかに研究されているといえる。
進め方については、その場に応じて私が話したり、皆さんから意見をもらいたいと思う。

自己紹介

近江八幡のエコ村にはたぶん住まないが、たまに訪れて垣間見るというかたちで参加する。
人がつなぎあって安心で安全な暮らしをつくっていくという、エコ村の根本精神はいろんな場所で実行できる。今自分が立っている場所で何ができるか、生きていく目標の一つとしてエコ村があるし、小さな自分の家でエコ村の暮らしを実行していきたい。

森林について研究していて、地域材運動に出会った。これが果たしてどれほどいいものなのか、食物に比べると根拠が薄弱であると感じた。一方ではグリーンコンシューマについても研究している。エコ村は消費者個人としてではなくコミュニティとして環境にやさしい生活をしていくというところに興味を持っている。

バブル期には住宅販売をしていたが、便利さ(通勤圏)と価格だけを考慮して売れた家は、本当に住みやすい住まいであったのかと思う。個人的には京都の町屋で育った。立て替えてよくなった部分、悪くなった部分をみてきた。あわなくて引っ越してしまったが、近江八幡市にも住んでいたことがあり、現在は大津に住んでいる。

(課題別ワークショップの中でも)特に住環境に関しては、今まで経験してきたことやこれから考えていきたいことのきっかけになると思う。消費生活アドバイザーの活動をしており、近年暮らし、住まいに女性の関心が高いことを感じている。家は自分がどういう暮らしがしたいのか、価値観が大事。地域材を使った家を建てた経験がある。エコ村の活動の中で、コミュニティをみがく、育て上げていく部分での巻き込み方を考えたい。

パーマカルチャーの勉強をしている。自給的な暮らし=農業を中心にした暮らしを考える中に、暮らしのベースとなる住まいも入ってくる。ここでも勉強したい。

岐阜市内で住まいに関わる仕事をしている。自分がこれからどのような住まい方をするのか、まわりとどのような関係をつくっていくかに関心がある。経済的な価値以外のものが重要視されてくる中で、住宅のことを考えていきたい。

たぶんエコ村に住むことになるので、自分自身の生活が住まい方や仕事、生き方に関わってくると思う。エコ村を実現することは、一人一人が幸せだと思えることが、社会に向けてのメッセージになる、こういう暮らしをしていきたいと思ってもらえるものになるということだと思う。

仕事ではエネルギーのワークショップで太陽熱温水器のプレゼンをした。武蔵小金井の環境共生住宅に設備をつけた。あれから10年、特にここ数年、環境が注目される中で、自分の仕事がどう位置付けられていくのか、どう関わっていくのか、今回のエコ村の中で実践していきたい。

エコ村をつくることの究極は、エコ村に住むことではないかと思う。日頃「川上から川下へ」という考えをもっているが、エコ村の中だけで処理できるものは少ない。となると川上=森林も水環境に関わってくる。小舟木に入ってくる水をどうやって汚さずに琵琶湖に流すか、エコ村に住む人には、水に対する意識を高めて住環境をよくしていくことを考えてほしい。

環境に関わっているのは、この時代に生きている使命感。環境というものはいろんなことが絡み合っていてものすごく大変だと思っていたが、伝統の知恵・工夫を見直したときにときに、知れば知るほど楽しくなるものだと思った。

エネルギー産業に関わるものとして、まずはエネルギーだが、2010年ごろには全面自由化されるという時代を背景に、住環境・アメニティにどう携われるのか考えていきたい。

土木建築を担当しているが、住宅性能評価機関に出向した経験がある。ハードの部分に関わってきたが、ワークショップではソフトの部分を勉強していきたいと思う。

(伊丹先生)
専門は建物の音・光・空気・熱という部分的な環境に関する計画手法や教育手法だが、環境へは省エネがとっかかり。環境共生という意味合いの中で、これからは節約・減らすというマイナスではなく、積極的に行動するべき。建物をつくる側から環境を見てきたが、住み手にとって100点満点の家がどういう家なのかをコミュニケーションの中でつくっていくことや、つくってから(よくしていく・変えていく)が大事になるのではないか。

意見交換
1)住むということ、働くということ

(林先生)
生活意識の違いこれだけの人数なのに思いは違う。一人一人が考えてつくっていくっていうのが、エコ村だと思うんですが、みんないろいろ背負ってますよね。それを持ちながらも、望んでいる方向に向かって接近していく。つながっていく。当初から、エコ村は“ネットワーキング”だと思っている。エコ村はどこにつくるんだと何度も聞かれたが、エコ村というものは、ふって、わいて、成立するものではない。参加者の意識と実行力が基本だと思う。
エコ村ネットワーキングはできて2年半くらいになるが、はじめのうちは勉強会でもいいが、やはりこれからは、もう一歩前進して、見えるかたちにしていきたい。
住みたいと思っている人たちには、あやふやなかたちかもしれないが、一番イメージがあると思う。単に住む場所ということなら、絵はすぐ描ける。その中に住んで暮らす、その一番根っこになる「働く」ことをどう捉えるのか。それがすごく大事だと思う。難しいところだけれど、活動領域が広い人は田舎のエコ村で、車で移動して時間かけて働いているのは本来のあり方にあわない。やはり、はたらく場所と住む場所がエコ村ではかなり接近しているべきだろう。たとえばこのキャンパスくらいの広さで、働く場所があるとか。どういうふうにはたらくのか。やはりお金も得なくてはならない。

(参加者)
エコ村をつくること自体が仕事だと思っているので。やはり、働くことと住むことは切り離せない。実際、生きていくこととお金を稼ぐことは、一緒なようでずれる部分もある。そこは難しいところだと思います。

ゼロから始まって、はじめ仮設のテントでもいいから入って、周辺のものを使って「エコ村をビルドする」という仕事が、すべてで暮らしも仕事も一体になっている、それは理想ですよね。または、ある程度できたもの(家)を起点に行動していくのか。

はじめは住むところは別にあって、つくるために通うっていうようになると思う。家ができたら、せまいかもしれないけど村づくりをする人が集まって住む。次にその人たちの家を建てるという仕事ができたら、今度はその仕事に人が来て、また村が大きくなっていく。今度は食べ物を提供したりという仕事が生まれるかもしれない。

2)エコ村づくりのプログラ

(参加者)
以前建築の人が、「プログラム」というのは建物を建ててどうつかっていくか、建物の中の話だというように聞いていた。いまおっしゃったのは、立てる前からどういうようにしていくかという手順の話でしょうか。

私は販売者の視点で住宅をみていますが、住む人には、自分でつくる視点がまったく欠けている。働いているところの円、学校の円、価格の円を書いて、どこならよくて、どの大きさで、とあいかわらず決めている。その中につくるプログラムはない。どんな暮らしがしたいのかときかれると、みなさん困ってしまう。返事は「いくらで買えるの?」エコ村に住みたい方は、今までの暮らしを変えたいという意識はあったとしても、住宅を変われた経験はないだろうし、あったとしてもこれまでとまったく違ったものだろう。プログラムを作るためのプログラムがいるのではないでしょうか。

(林先生)
自分のライフスタイルを求める人たちが集まってつくる、コーポラティブ住宅がある。
エコ村の住宅をつくっていく中ではコーポラティブと似たような手順とプログラムがいるのではないか。はじめて住宅の手順の中で、入居者の住まい方の影響だけ構築していく。専門的な知識を投入して、エネルギーや水のアイデアをもってくる。具体的に小舟木のエコ村をつくっていくという課題に対しては、コーディネーターがとても大事なのではないかと思う。

(参加者)
コーポラティブの中では関係する所帯も少ないので、いったん集まれば議論はかなり深まると思うが、エコ村というと規模は大きくなると思う。そういう点で共通点というか、プログラムづくりみたいなものが必要ではないか。

(林先生)
実際数人では難しいと思うが、話を聞いてみる必要はあるだろう。
わたしのような気の短い人間は、(コーポラティブの手法は)無理でしょうね。

3)事前調査の必要性

(参加者)
具体的に地盤が固いか、水が沸くのかとか、土地の条件を調べておかなくてはならない。たとえば小舟木の土地は、工業団地として整備されたときいている。環境整備をして、グランドデザインを描いて、土地を拓いた上で分譲にするとか。前段階として家庭菜園がそういう地盤でできるのか、何人かの中心になる人が、グランドデザインを描けなければ夢に終わってしまう。
まず、基盤の整備を誰がするのか、前段階のプロセスをしっかりした上での住環境のワークショップになるのではないか。

(林先生)
どんな計画を立てるのかは、すでに場所が決まっているなら事前調査をするべき。そういうことはテキスト(前述の今回使用テキスト)の冒頭にもかかれているが、季節の変化や風がどういう方向から吹くか、温度差、土壌の性質、水はどこを流れているか、そういう基本条件がある。
ぼくはまだ、エコ村そのもののイメージは固まっていないが、どんな計画を立てるにしても、基本的な作業がある。そういうことを具体的にしていくことも大事なことだろう。
たとえば、バイオマスエネルギーを使うなら、具体的にはどんなかたちなのか、可能適応性をひとつずつ、つめていく。

(参加者)
そういうことがないと、我々の専門である汚水・排水・給水ということが具体的に浮かんでこない。各戸で処理するのか、全体で処理するのか、最初に小舟木のエコ村予定地ありきで終わっている。

私は住まいの専門ではないので、今回まず知りたかったことは、環境共生といったときにどういう要素が住まいに関わってくるのかということ。風向きというと風通し、日照というと日当たりということでなんとなく関係がありそうだということはわかるのですが、土壌といったことがどこに、どう関わってくるのかということをお聞きしたいと思います。

(林先生)
長い時間の中で土壌、地層がどうなっているのか、水がどう流れているのか…。
「家を設計するときに環境はどう関わるか」という質問の答えになるかわからないのですが、経験的に言うと、日本は、北海道から沖縄まで南北で気候がずいぶん違う。滋賀県なら大きな環境は、近畿圏ということでいい。一方小さい環境としては、いわゆる微気候がある。その周辺に木がたくさん植わっている状態とそうでない状態と、ずいぶん建物周辺の状況が建物に直接関わってくるので、周辺の微気候に関わる要素の検討の必要がある。
簡単に言えば立ち木があるとか川があるとか、山が後ろにあるとか。そういう中で環境共生住宅というのは、建物が建つ周辺の、微気候も含めた環境とうまくやるにはどう建築しよう、というのが本来の考え方です。日本の場合は環境はどんどん悪くなっているが、悪くなるから窓を締め切って家の中だけを調整して、一方排ガスをどんどん出して回りの環境は悪くなるという悪循環が、特に都会では起きている。そうならないように、どういう建物にしたらいいか考える。こうして人と環境とかみあっていくような状況をつくっていくというのが、設計の重要なねらい。

(参加者)
エアコンなしでいこうとみんなで決めたら、そういう建て方も可能だということでしょうか。

(林先生)
エアコンなしで、緑の間を伝わってくる涼しい風で暮らそうという人は都会でも結構いる。以前講師としてフォーラムに来られた甲斐さん(世田谷経堂の杜というコーポラティブをつくった人)彼らは12軒。世田谷はもともと農村で、大きな木がたくさん点在して植わっていたようなところ。開発の波が来て、ほとんど伐採して更地にしてしまったが、ここでは一本も木を切らずに、木の間に3階建ての家を建てた。屋上緑化、壁面緑化をして、家の間を風が通るようにした。このように、外環境を保全して冷房を使わないで、という趣旨の計画。

(参加者)
エアコンを使うと外気の廃熱が熱い。みんなで申し合わせをする必要があるでしょう。

(林先生)
私も行ったことがあるが、地階に路地があって涼しいところから空気を取り込んで、床下に空気が噴出している。クールチューブに近いようなやり方です。
冬は逆にあったかい。26度くらい。

(伊丹先生)
夏涼しくて、冬暖かいのはその地域の年平均気温に等しいから。夏は冷房の変わりになるし、冬は暖かい空気が出てきているというほどには感じないかもしれないが、省エネにはなる。

(参加者)
甲斐さんのところは地盤も固いので地階もできるが、湿地帯で建物をどういう風にするのか難しいと思う。

(林先生)
今の例でもわかるように環境共生住宅というのは、今の環境の利点を利用して、電気エネルギーは極力使わないで、そういうタイプのもの。小舟木でも水がもし活用できるのであれば、冷房の替わりに使ったりできるかもしれない。
ただ、いまそこ(県立大学の校舎新築工事)でも、とても大きい杭を使っている。地盤がすごく悪い。杭が打たなくても、自分の重みでずぶずぶ沈んでいく。
小舟木も、木造くらいなら大丈夫だろうが、センターの建物なんかは地盤をよく調べた方がいい。あと、自然がどれくらい利用できるか調べることも大事。全体のプランがある程度できているなら、木は先に植えたほうがいい。

(伊丹先生)
先ほど住まい手と一緒に建物を建てたりということでしたが、土地を知るということでも、まず理解して、特徴を見つけて生かすということも必要だと思います。住まい手がどのように住みたいかということも大事。環境共生手法ということでいろいろあるけれど、どこかでコーディネーターが必要。土地を知って、まわりを知って、居住者を知って、みんなでつくっていくときに、やはりコーディネーターが必要でしょうね。

(参加者)
柳を植えてバイオマスやろうという話もあったが、柳が果たして防風林になるのか。北海道ではポプラを使っているが、材木としては価値があまりない。

(ポプラも柳も)燃やすなら同じではないですか。成長が早いほどバイオマスとしてはよいとは思います。

土地を知るというのは誰ができることなんでしょうか。居住者がいくら集まったところで無理なレベルで、どこでエコ村をつくるにしても出て来る問題です。

(林先生)
それはあなたでもできますよ。
ひとりの知識ではできないけれど、自分が中心になって専門家のところへ聞きに行くとか。土壌なんかは市役所の土木課に行けばデータがあるはず。

(参加者)
土地の歴史がほしい。
家を建てたい人はそういうことを知りたいだろう。

(林先生)
そういうのを計画の基礎データといいます。

4)住環境ワークショップの方向性

(林先生)
小舟木に焦点そこにしぼってそこで何かできるのかという話もできるし、一般的な学習もできる。
今後の進め方もみなさんで決めたいと思ったのであえて決めていません。

(参加者)
小舟木を事例として、普遍的に環境共生住宅とこういうところを抑えるべきだということを勉強していくというのはどうでしょうか。
たとえば近江八幡なら日照を考慮した住宅はできるのかとか、雪が降るが暖房はどうしたらいいのか、とか事例を使いながら考えていきます。

(林先生) 
あまり一般的になってしまうと教科書を読むだけになってしまいますからね。
では、提案を受けて、小舟木を前提としつつ、住宅あるいはエコビレッジをつくるという前提でどんなものにしていったらいいか、考えてみるともう少し進むのではないか。

(参加者)
あるいは企業の方から、どこかでこうしているという事例紹介があってもいい。
ここではこうしたが、環境を考えたらどうだったか、とか。

エコ村は小舟木で終わりではなく、もっと広がっていくべきものだと思う。いまおっしゃったような「普遍的な」というのはすごく重要だと思う。
地域の特性を活かしてここにしかできないものをつくるのであっても、その中に普遍的な部分というのはきっとあるはず。

図面とかプランニングの骨になるところとかコンセプトというかどうなっているんですか。たとえば仕事のこととか。

いままさにプランニングを進めていますが、仕事のところまでは、もう少しかかりそうです。若い方と、退職されて時間的に余裕のある方と、だいたい考えています。

募集方法はどうするのですか。そこにエコ村ネットワーキングはどうからんでくるのか。もちろん事業会社の方で、もうできているということであればそれでよいが、そこそこのかたちがもう見えていないといけない段階に来ているんではないですか。

先ほど出てきた水の流れや地層を考慮した敷地計画がほしい。

たたき台ということで、案というかたちでも公開してもらえれば、具体的に何が問題か、ということもあると思います。可能ならば、中途段階でも参考にできればと思う。

たたき台は300戸でも、たとえばパーマカルチャーやっている人なら30戸で全部畑でいいんじゃないかというのもあるだろうし、いろいろやってみると面白くなるのではないか。

実現していくことと、自分が実現したいことというのもあるだろうし、たとえば小舟木なら湿気が多いということが制限になっても、別の場所なら可能になることも出てくると思う。

近江八幡は彦根と同じくらい寒い。北側に何もない家に一年住んでいたが、風呂場の窓が凍った。子供はしもやけになった。暖房代が相当かかった記憶がある。
前提の条件なしに家を建てると大変なことになることもある。

まだ3月から勉強し始めたばかりで、まだまだですが。パーマカルチャーの観点からいうと、農業をするので有機物の循環ということも、当然ある。トイレであればコンポストトイレ、温室を近くにおいて冬でも採取できるような台所、特に食べ物に関することが多い。それを中心に考えるだけでも自分の部屋のどこに何があって、部屋の外と中野関係で何を配置するかということも変わってくる。
でも、たとえば育児をされている方なら育児を中心に考えられると思うので、全体的な話の一方で、住む人が何を大事にして住みたいかということも大事。

パーマカルチャーは基本は農業ですか。

もともと多種の作物栽培をするということで、自給的に生産しながら暮らしていく。自分の家から出たものである程度堆肥にしていくとか、自分の家で食事をまかなうという考えの上での、建築と畑のかかわりからのアプローチだと思う。

収益はどのようになっているんですか。

海外のエコビレッジでは、パーマカルチャーだけでは仕事を立てられないので。

(林先生)
長浜なんかだと、逆にそういう畑をする生活は可能なんじゃないのか。
小舟木にすむ人がいてもいいけど、長浜に住む人がいてもいいと思う。エコビレッジの共感者が東京や彦根にいて、エコライフをやっているということが大事だと思う。
何も一ヶ所に集まって住まなくてもいい。長浜で徹底して実践していければいいんじゃないか。

(参加者)
私もそれは感じていて、もちろん住むだけのお金が出せるならエコ村に住見たいとは思うけれど、同じくらい自分の家をエコアップする意味でもここにヒントを求めて、自分でも実践して自分の家でやっていることがある程度かたちが見えてきたときに共有していくというつながり方もあるかなと思う。

(林先生)
個人個人がエコアップできるというのがいまぼくらができること。
そういうことが今できることではないか。

(参加者)
このワークショップのゴールはどう考えておられますか。
いまエコアップするという話がありましたが、さっきは敷地計画の話をしていて、模型を作ったときのように大きな話だとエコアップするというようにはなりにくいかもしれない。
むしろ理想の家の話をみんなでしていった方がいいのかもしれないと思う。

(林先生)
エコアップはひとりひとりの努力だよね。そうした日々の実践をしつつ、可能ならば、小舟木のエコビレッジの構想というか、リアリティのある見え方ができる作業にしていければいいと思う。もちろん未知数は多いと思うが、皆さんの考えをいれながら方向性ぼく自身は簡単に絵にするのは好きではない。絵にすると一つのアイデアで固まってしまって、身動きがとれなくなってしまう。可能性のある考え方、のびていけるようなものにしたい。次回は何も書いていなくてもいいから、敷地の図面が用意できるといいですね。
あと、航空写真、ぼくも地域環境づくりで何か骨になるようなものも、いくつか持ってきましょう。それと基礎データですね。

5)おわりに

(参加者)
エネルギーだと敷地の段階ではまだ入れないんですが、緑地に関係している。
木を森林として扱うか、小舟木であれば住宅に近いところで維持するとなるととてもお金がかかる。コストは滋賀だけで何千万とかかる。木を植えるのはいいが、誰が、どのように管理するかは大きなこと。木は環境のためになるので変電所など作るときには、周辺住民と話したときには緑地をつくるが、高木を植えると10年、20年で森になる。すると苦情になる。落葉樹はなるべく植えないようにしたり、風が吹くとうるさいとか、陰になる、まわりが田んぼだと鳥が住む、といって苦情が来る。それで切ってしまうとなんのために植えたのか。
成長したときにどうあつかうか。バイオマスなのか、癒しなのかでも植える木は違ってくる。防風林なら密生して植えないといけないが、外から見ると閉鎖的になるし、防犯でも問題がある。兼ね合いが難しいと思う。バイオマスにしても切る時期は限られる。
木を植えるのは難しい。畑にするといっても、安くはない土地の中ではよほど裕福な人しか買えない。それを共同で購入するのか、貸し農園みたいにするのか夢をまずおいて、実現していく必要があるだろう。エコ村には夢があるが、小舟木といったときには現実になる。夢を持ちながらどれだけ実現していけるかがエコ村だろう。

(林先生)
現実的でシビアな意見。エコ村という聖域(?)があって、他との接点をどうするのかは課題。菜園の話でも、現実にもてる敷地でもやっともてるくらい。エコ村だから自分で菜園をもてるようにするのか、それとも共同菜園で自分の区画を管理するのか。現実にはキュウリ・トマトをつくるのもそんなに簡単ではない。(滋賀県立大学の)小貫先生の『菜園家族の学校』で、ぼくも東京で農的暮らしを紹介することになっているが、少しずつエコアップしていきましょう。

事例を中心に具体的な部分から、岐阜ならどうできるのかということを考えている。経験がない分、世代の違う方がいると実感として理解できる話があるという感想です。

住環境が整ってくると電化製品がいらなくなるとすれば、我々はどうしていくのか。我々がもっている企業そのもののイメージも変えていかなくてはならない。
セキュリティシステムやチェックするシステムでプラスチックを応用していこうとしている。

企業の側にも暮らしの変化が進んでいく中で、新たな商品開発もすすんでいるんですか。

広島の工場でも広島大学と産学連携で共同研究を進めたりしている。

現実ということでも自然に向き合うという部分と、人に向き合う現実がある。人に対する現実は、考え方の話なので、今問題になることもなくせるかもしれない。現実を見ろといってもあきらめてしまうことはない。

(伊丹先生)
将来のことを考えていく上で、こういうライフスタイルを良しとして選んだんだということで自覚しないといけないし、それによってまわりが変わっていく。環境教育など、知識を教えるのではなくときどき思い出す。高めていこうという意識によります。エコ村自体も完成してからもエコアップしていくし、周りに対しても、情報発信していく。

(参加者)
一面では便利になるということばかりでなく、明治や大正に戻るということがあるのではないか。オール電化を否定する人がくるかもしれない。つくることの楽しみを求めてくる人もあるかもしれない。

環境共生よりも、エコ村ネットワーキングと地球の芽と自治体の位置付け、結果がどう反映されるのかが今日少しわかりました。他の会員の方も思っておられると思うので、何らかの機会にクリアにしていければいいのではないか。
また、自然を取り入れてというのが環境共生であると思うが、エコ村の一方では高気密・高断熱・温度のバリアフリーを求めている人があり、国も進めているという一面がある。エコ村がやろうとしているエアコンなしの生活というのは非常に温度差のある環境になると思うが、それが逆行している方向である。どちらがいいか悪いかは住み手が決めるものであって選択すればいい。ワークショップではいろいろな材料提供をする場にできればと思う。細かな技術は企業で開発されていると思うので、それを提供する側と使いたい側で技術の交流会があって、建物だけでいえば家のモデル、エコ村全体でいえばインフラができる。ニューヨークの停電のことを考えると、何らかのバックアップということもコミュニティで考えなければならない。そういう意味ではエコに反するかもしれないが、必要だと思う。なかなか絵にするのは難しいという先生の発言がありましたが、逆にいろんな人がエコ村に注目しているので、たとえば長浜のビジネスメッセを目標にして、エコ村でこういうことをしているということを提案する機会になればと思う。

ビジネスメッセには毎年参加している。昨年はシンポジウムを開催した。小舟木でどうするというのは地球の芽から出展されると思うので、エコ村ネットワーキングの活動として、紹介することを考えたい。

(林先生)
今後の進め方は、先生方や企業の方からの提案は時間を区切って、2時間の真ん中か、終わってからとってもよい。手順としてはテキストを前提に進めていきましょう。

(記録 本郷智子)
(まとめ エコ村ネットワーキング事務局 北村欣見子)