これまでの活動 2003年度

水ワークショップ 第5回 「まとめ」

日時 2003年12月10日(水) 13:50 – 16:30
場所 ピアザ淡海305会議室
参加者 7名
ファシリティター 若井 郁次郎氏(大阪産業大学人間環境学部教授)

これまで4回のワークショップの概要が話された後、「エコ村らしい」水の使い方、付き合い方とはどのようなものだろうかという視点で、自由に意見交換が為されました。

主に話題となったこと
水循環の健全性を取り戻す

自然の水循環が果たしている機能(地表の熱・物質の運搬/生命活動に伴う老廃物を運び出して、徐々にきれいにしていくことなど)を破壊せずに、人間が利用させてもらうようなものが、エコ村の水循環システムだと思う。 中でも、現在は、地下に潜る循環が土地の改変により阻止されてきたことで、自然のもつ流量調節機能や土壌の浄化システムをうまく利用できなくなっている。ゆっくり地下を通した水循環に変えていくことが課題である。

用途に応じた水質・水のカスケード利用
  • 使用する水の質は良いに越したことはない。しかし、大量のエネルギーを用いて必要以上に浄化する必要はあるのだろうか。水のすみわけ(用途に応じた水質のレベルを求めること)が必要なのではないか。
  • 「水のすみわけ」を受け入れることで、簡単な処理で段階的に水を利用することが可能になる。
  • 複数の選択肢を用意すること。その中で、技術の問題、生活者の感覚といかにマッチングするかで、実際にやることが決まってくるだろう。
「適量の水」の使用
  • 発展途上国の水資源開発の基準は、「清浄な適量水を平等に提供する。」に変わってきている。我々もこれに倣って、「適量の水」使用に転換していく必要がある。
  • 水の使用量が減れば、その分排水処理にかかるエネルギーが少なくてすむ。
  • 何を持って適量とするかは、我々は真剣に考えていかなければならないところである。
  • 生活のを質を落とす必要はない。無駄に使っているところを減らすだけ。
災害時にも生活できるコミュニティにする
  • 災害時にも安心してある程度文化的な生活ができることは、一つの価値だろう。
  • 水源が複層化されていることは、災害時の水の確保という面でも適している。
  • 災害時に居住者が集合するような場所をコモンでつくると良い。(ここは、災害時でもある程度の生活ができるようにインフラ整備がなされている。)エコ村の生活の見本となるような、モデル的な施設として機能するだろう。
水や緑はコミュニティの形成の仲立ちとして機能する
  • 互いに顔の見えるコミュニティ・互いに声を掛け合う生活。
  • 水は、コミュニティの形成の仲立ちをするものになる。小川が流れてつながっている、井戸を共同で利用するなど。水に限らず、木・緑、何らかの造形物を、地域の絆となるような、皆の拠り所となるような場所にしていく。
水利用のモニタリングシステムを設ける
  • 売電を始めて電気使用量を意識し始めた家庭が増えたように、水でも使用量のモニタリングシステムを設けたら効果があるのではないか。
  • モニタリングシステムはしっかりやりたいと思っている。次の世代への基本データになる。
最低限のルールは必要?
  • 複数のメニューはあるけれども、最低限エコ村として守って欲しいラインは設けるべきだと思う。入居者はそれに了承した上で入るような仕組みにしていきたい。
  • 「何を流すか」についてはある程度ルールが必要なのではないか。その際、別のものを使うとこうなるというもの(代替案)と合わせて示していくことが大切。
  • 「何を流すか」のルールづくりは、(下水道に流れて消えていく、というのではなくて)生活排水→簡単にろ過→散水→エコ村のビオトープ(魚もすむ、子どもも遊ぶ)というつながりがある中でやっていくと、うまくいくと思う。
水ワークショップの役割はメニューを提案すること?

エコ村づくりのメインはそこに生活する住民である。また、コミュニティ全体で同じような水の使い方をするのではなく、例えばブロックごとに求めるものが違って良い。生活者に対して、バリエーションとしてこのようなものがある、という形で提案していくのが、この水ワークショップであったり、エネルギーワークショップであったりするのではないか。

(2003,12,16 文責:西山由美)