これまでの活動 2003年度
エネルギーワークショップ 第5回
「高効率発電」
日時 | 2003年11月18日(火) 14:00 – 17:00 |
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場所 | 滋賀県立大学交流センター研修室 |
参加者 | 22名 |
1.始めに
仁連会長(滋賀県立大学 教授)
今、4つのワークショップをしているが、2月までに報告書にまとめたい。2月24日に全体のワークショップをまとめた計画を発表するシンポジウムを開催したい。今回発表いただくことも参考にして、エコ村やこれからのエネルギーシステムについて考えていきたいと思います。
2.提案
大阪ガス(株)
「家庭用コージェネシステムで環境貢献と省エネ実現」
給湯・暖房も含めた省エネの提案。分散電源として、家庭用コージェネecowillの紹介。
これまでは、原料100のうち41が発電用に使われ、27は損失だった。そこで、オンサイト発電のコージェネで、77%の利用効率を実現。
- Ecowill:発電出力1.0kW 貯湯温度約70℃ 貯湯槽容量約150l
- ガスエンジン発電ユニットで電気と熱を得る。
- 熱でつくった湯は貯湯槽にため、床暖房、風呂・台所への給湯などに利用
- 燃料電池について
電気化学反応のため発電効率が高い。燃料電池コージェネにすることで、省エネ率約30%、CO2削減率は約40%。2004年にフィールドテストをし、2005年にモニター実証と発売準備というスケジュールで共同開発を進めている。
また、ecowillには学習機能がついており、負荷の計測と負荷の予測ができる。
関西電力株式会社 「給湯ヒートポンプシステムの紹介」
給湯用エネルギーは、季節変動、時間変動が大きいので、主に深夜電力を利用する給湯システムにする。ヒートポンプは、大気熱から2の熱エネルギーを得るため、電気エネルギー1を与えるだけで3の熱エネルギーが得られる。冷媒をCO2にしたため、COPが上がった。2002年には、COP3を達成したが、今後2005年にはCOP4、2010年にはCOP5を目標にしている。
今後は、システム効率の向上など性能の向上によって瞬間性を高めた省スペース型給湯機の開発や、浴室乾燥機・風呂・床暖房・洗面といった給湯・暖房複合システムの開発を目指し、さらに、温度センサーや人感センサーなどと連動させたトータルコントロールにより、いっそうの省エネを誘導することを考えている。
富士電機 「燃料電池発電システムの紹介」
燃料電池は、排ガスがクリーン、高効率、エネルギー供給の多様化、分散電源の普及に貢献などのメリットがある。また、内燃機関を利用した発電方式と比較して、Nox、Sox、騒音が少ない。富士電機の燃料電池は、都市ガスを原燃料として定格出力100kW、発電効率40%、コージェネ総合効率87%。ホテル、生ゴミバイオガス発電への組込み、下水処理場消化ガスの有効利用などの導入例がある。
定置用燃料電池の運用留意点としては、一定負荷運転のため系統連系運転とすること、燃料改質系が800℃を要するため連続運転すること、排熱の有効利用をすることが挙げられた。
3.ディスカッション/コーディネーター:笠松さん
プレゼンテーションを受けて
- ecowillの規模と価格は?
→1kWで機器本体は60万円。お湯ができすぎるので系統連系は買う方向だけ。 - ヒートポンプは圧縮して何度まで上がるのか?
→CO2冷媒は100℃くらいまで上がる。 - 自然エネルギーとの併用は?
→できるが、イニシャルコストが高くなるので、実際はしていない。 - 燃料電池の普及時期は?
→業務用は製品化されている。家庭用は実証に入る段階。 - 燃料電池小型化の難しさは?
→水素を作るプロセスの小型化は、熱損失が出てくる。また、需要予測が難しい。 - 燃料電池の相場は?
→kW当たり80~100万円。1kW当たり60万円くらいでないと普及しないだろう。 - オール電化について
→リスクは分散した方がいいのでは。気分的にコンロなどは火が見えたほうがよい。 - →ガスでも制御は電気がしているので、停電のときはすべて止まってしまう。違った形のセキュリティが必要。限られたエリア内の分散型発電が必要
- 一次エネルギーを生み出さない限り自給は難しい。自給度を一つの指標にしては?
最後に会長より
非常時のこと、感覚的なこと、熱・電力源、ピーク・ピーク以外などいろいろな条件の中で解を求めることになる。自然エネルギーは不安定でコストがかかるので、化石燃料エネルギーとのハイブリッドに向かっている。また、これまでされてこなかった、負荷を下げるための生活の側でのとりくみをすることが重要。
(文責 吉葉)