これまでの活動 2003年度

エネルギーワークショップ 第3回
「バイオマスエネルギー(2)」

日時 2003年9月16日(火) 14:00 – 17:00
場所 滋賀県立大学交流センター研修室
参加者 29名

1.情報提供
  1. 「バイオガスプラントの成立要件」富岡昌雄 滋賀県立大学教授
  2. 「各社のメタン発酵技術紹介」笠松明男
2.プレゼンテーション
  1. 「バイオガスプラントの仕組みとその説明」新江州株式会社
3.ディスカッション

廃棄物系バイオマスの課題、生じたエネルギーを有効活用する方法、エコ村での議論の進め方などについてディスカッションが行われた。
まず、廃棄物系バイオマスの課題としては、有機性廃棄物をなくす方法が確立しないうちに、家畜排泄物の管理の適正化と利用の促進に関する法律ができたために、使い道を熟考せずに堆肥化を進められ大半が失敗していること、またせっかく堆肥をつくっても、農家数の減少に加えて、農家がそのように作られた堆肥の安全性を疑っていること、また、バイオマスへの投資を回収するにはかなりの年数がかかるため企業が二の足を踏んでいることなどが挙げられた。

一方で成功事例として、水口町、日野町、北海道での事業が挙げられた。水口町では、各家庭にバケツを配布しており、生ごみと土を交互にかぶせる作業を繰り返すという方法で堆肥化に取り組んでいる。それを、2週間に1度、業者が回収し完全な堆肥に仕上げて、また家庭に配布している。現在の参加者が2~3割であるのが、ひとつの秘訣と考えられる。日野町のシステムでは、実験効果と農家に循環型農業へ奮起してもらうという展示効果を狙っている。規模は5t/日。現在のところ、採算には合っていない。一方、帯広畜産大では同規模で電気の余剰が出ているが、その理由は24時間発電をしていないためだろう、さらに小規模のガスタービンが開発されれば24時間稼動でき、採算も取れるようになってくるのではないかという指摘があった。

また、ガス化の際に生じる廃熱の利用については、デンマークなどでは地域暖房などに利用されているが、日本では需要がそれほど多くなく、現時点ではガスプラントの反応層保温以外に需要がないのではという意見があった。しかし、未来に向けた実験的なプロジェクトであるエコ村をテーマに議論していく際には、できない現状を前提に話を進めるのではなく、需要にあわせた技術開発など進めることが必要だという意見が出された。廃熱の利用方法としても、暖房だけでなく冷房には使えないのかなど、考え得ることはたくさんあるだろうという提案。

このように、議論の進め方についても意見が交わされた。個々の技術の議論だけではなく、エコ村が全体の方向性として、人間の世界だけ上手くいくようなことではなく、生態系の一部としてのエコ村という議論をしていくこと、また、企業がこのような場に参加するための支援策として(1)企業だけで採算に合わないときは補助金をつける、(2)将来的にコストが安くなることが見込める、といった条件を整備して欲しいという意見が挙げられた。