これまでの活動 2004年度
エコ村セミナー
「現代の環境倫理と企業・地域」
日時 | 2004年9月24日(金) 13:30-16:30 |
---|---|
場所 | 滋賀県立大学A2-201教室 |
講演 | 河井徳治氏(大阪産業大学人間環境学部教授) |
話題提供 | 森建司氏(新江州株式会社会長・エコ村ネットワーキング副理事長) |
参加者 | 39名 |
1.講演「ヒューマンエコロジーの倫理」 河井徳治氏(大阪産業大学)
はじめに、河井先生より本日のテーマである” ヒューマンエコロジー”とその成り立ちについてお話いただきました。「環境をどう見るか」という環境思想史の考え方は、主観と客観の違いがあいまいな日本独自の自然観とは異なる欧米の思想を背景に生まれたものです。
生命活動は観念(精神活動)と物質(肉体活動)の双方において、原因から結果への循環があり、それがまた、過去・現在・未来という大きな時間の流れでめぐっており、「循環が成立するとき、精神と肉体が一致し、人は喜びを感じるのだ」というお話が印象的でした。
河井先生は難しいテーマにもかかわらず、school(学校)の語源がschole(閑暇)にあることに触れ「学校は暇な人が行くところなんだよ」と冗談をはさんだり、会場を楽しませながら、わかりやすくお話してくださいました。
2.話題提供「循環型社会主義入門~MOHの会運動を通じて~」森建司氏
河井先生のお話を受けて、森建司氏が取り組んでおられるMOHの会活動についてお話がありました。MOHとは、M(もったいない)O(おかげさま)H(ほどほどに)の頭文字です。ものを大切にする心や、次の時代に残そうという感謝の心にこそ、豊かさの本当の意味はあるのではないか、と経済至上主義に対する考え方の転換を力強い言葉で提起されました。
3.質疑応答・意見交換
河井先生に対しては、実際に食べるものにも困っている発展途上国の人に環境倫理を説いてもどのような意味があるのか、逆に日本が高度経済成長期にこのような考え方はなかったのだろうか、などの疑問もだされました。河井先生は「こうあるべき」を説くのではなく「こうある」を示すことが大事だと話されました。また会場からも、戦後は大きなサンドイッチなどアメリカ式の刺激的な豊かさが注目され、国を挙げて経済成長へ向かったが、最近北欧の豊かさも注目されてきている、との意見がありました。最後は仁連理事長が「生命は場所によって役割を与えられる。人間も同じ。エコ村でも場(関係性)の中で生き生きとした産業や経済をどうつくっていくかが大切なことだ。」として、締めくくりました。
記録:本郷智子さん((株)地球の芽) 文責:エコ村ネットワーキング