これまでの活動 2004年度

エコ村シンポジウム
「小舟木エコ村から提案する環境共生」

日時 2004年2月24日(火) 13:30-16:30
場所 ホテルニューオウミ
主催 特定非営利活動法人エコ村ネットワーキング・近江八幡市・小舟木エコ村推進協議会
参加者 250名

13:30 開会
挨拶(近江八幡市長・川端五兵衞)
来賓挨拶(滋賀県東近江地域振興局長・西田弘)
エコ村ネットワーキング法人化の報告(エコ村ネットワーキング副理事長 西尾久美子)
13:50 基調報告「小舟木エコ村プロジェクト報告」
(エコ村ネットワーキング理事長 仁連孝昭)

エコ村ネットワーキングが誕生したのは2000年11月。3年余りが経過して、ようやく小舟木にできるエコ村の具体像をみなさんに示すことができるようになってきた。内閣官房の都市再生本部の都市再生モデル調査事業の補助をいただいて、昨年末から計画づくりを進めている。今回は計画づくりの議論を進めてきた成果を報告したい。3月末に向けて、計画をさらに詰めていくつもりである。

  1. エコ村憲章
    エコ村憲章は2002年11月に国際シンポジウムを行った際に採択された。小舟木エコ村プロジェクトはこの憲章を具体化するために進んでいる。「生命あるものに感動し愛情を育む生命倫理を育む」これが基本的な考え方であると考えている。我々人間も生命の一部である。そのため、私たちが幸せになるためには、生命環境を大事にしていくことが前提であると考える。
  2. ワークショップの経過
    憲章を具体化していくために、昨年7月から4つのワークショップを開催してきた。生活者、住環境、水、エネルギーの各分野において、これまでの私たちの暮らし、あるいは社会を見直して、エコ村ではどのようにしていくのかということを議論してきた。また、今年に入って4つのワークショップを集約するための会議を行った。
  3. 小舟木エコ村のめざすもの
    環境の保全、経済成長、コミュニティの健全性、これまでの社会ではこのうちの一つを狙うと他が抜けてしまっていた。エコ村では生態系との共生、新しい経済を生み出していくこと、コミュニティの活性化の三つがどれも叶うしくみをつくる。お互いにトレードオフではなく、三つを同時に実現する。その際、私たちの生活質を改善することを社会のエンジンとしていく必要がある。

    生活質を向上するとは

    経済:所得があり、働く場があり、生き生きと仕事ができる経済が機能している。
    自然:一つの生命は他の生命と関わって初めて生態系の中で生きることができる。自然環境を損なっては人間の生活質が良くなるわけはない。
    社会:私たちは一人で生きているわけではない。人と人とが仕事や近所づきあいを通じてつながっている。
    来るべき社会をどのようにしていくか。経済、自然、社会、がwin-win-winになる関係、それをエコ村という形で具体化したい。

    生態系との共生

    琵琶湖流域での私たちの生活は琵琶湖を挟んだバイオリージョンとして機能している。広く捉えれば琵琶湖・淀川バイオリージョンになる。ここでは森林、湿地、湖沼生態系、こうしたバイオリージョンを持続的に機能させることと私たちが暮らしていくことを結びつけていかなければならない。

    コミュニティの活性化

    これまでの社会は個人一人一人の欲求を満たす方向で進んできた。その結果コミュニケーション、人と人の心のつながりが失われてきた。エコ村では人と人の関係、とりわけ世代や仕事、考え方の異なる人同士のつながりを生むコミュニティをつくる。

    環境ビジネスの開拓

    現在の経済では経済性を重視するため、生活と消費の遊離が進んでいる。その結果、消費地である日本では、仕事が無く、廃棄物の増加が起こることが問題となる。資源エネルギーも浪費される。エコ村ではそうではなく、生活質の改善とビジネスが結びつく。生活質の改善のためのビジネスが生活の場から生まれ、そのことを通じて生命としての人間の生活質が向上する。
  4. 小舟木エコ村の取り組み
    4つのテーマと3つのスキーム
    エコ村では4つのテーマを3つのスキームで実現する。表はワークショップを通じて議論してきたことを整理して示したもの。水循環、エネルギー、物質循環、社会の健全性の4つのテーマにエコ村では取り組む。これをコミュニティのアクション、ビジネスのアクション、すぐには実現できないが将来のコミュニティ、ビジネスに向けて新しいものを生み出す未来創造(開発)の3つのスキームで実現することを考えている。23個のプロジェクトが挙がっている。エコ村の中だけで実現できるものと、エコ村の外-行政、企業、周りの住民、農業者-と協力しないと実現できないものとに分けて表現してある。

    地域の水循環

    これまで水は都市生活にとって邪魔なものであり、コンクリートで固めた排水路からできるだけ早く排水するようになっていた。最近になって都市の水循環、地域水循環を考え直す動きが高まりつつある。エコ村では地域水循環を取り戻す形で、環境と共生した暮らしを実現していきたいと考えている。

    エネルギー

    基本的に化石燃料に乗じたエネルギー利用をやめる。自然のエネルギーや熱の動きをうまく使って生活する。日本は非常に蒸し暑いので、夏の冷房は必須。空調ではなく、植生をコントロールすることで快適な気候を生み出すことを考える。植物は光合成活動をする時に、水を吸い上げて葉から蒸発散する。熱を奪うので冷たい空気が生まれる。それを潅木などで溜めて利用する。冬は強い北風を止めることによって住宅から熱が奪われることを妨げると同時に、日中の日射から熱を温室やコンクリートに溜めて利用する。それだけでは不十分なので、里山からバイオマスを調達し、暖房の燃料とする。これにより、暖房を通じて里山を管理することもできる。
    私たちの生活で最もエネルギー利用が多いのは車。現代は車に頼った生活が営まれており、これを一度に無くすことは難しい。太陽光を利用して電気自動車を動かす、それをカーシェアリングすれば、多量の化石燃料に依存しない交通システムが実現する。また、車に乗ってショッピングセンターに買い物に行くのではなく、コミュニティの中で生活物資を購入できるようにする。私たちのライフスタイルを見直すことによって、エネルギーの消費量を減らす。

    物質循環

    有機物を地域で循環するしくみをつくっていく。人口1000人規模のエコ村が近隣の農家と契約し、生産委託をすることができれば、地域の中での物質循環をつくることができる。
    社会の健全性
    コミュニティをいかにつくり出すかが重要になってくる。現在の住宅は一戸一戸が区切られていて、近隣のつきあいがし難い状況になっている。一つの提案は縁側型コミュニティということで、庭を共有することによってコミュニケーションを生み出すもの、もう一つは道路-車の通過のない道路-をコミュニケーションの場として使えるようにするものである。
    住む人一人一人の能力が生かされる場をできるだけ多くつくること。コミュニティで生かされる、さらにビジネスとして生かされるところまで展開していければ、経済の活力を生み出す。そのためのしくみをつくる。例えば、地域通貨を使って、多様な能力を交換していくことで、その能力を育てる。あるいは、能力を生かして仕事をすることを支援するための情報バンク、人材バンク、資金の提供などの体制をつくることが重要である。
  5. 小舟木エコ村をかたちづくる
    これらの取り組みを小舟木という場所でどのように実現するのか。小舟木バイオリージョンとしては白鳥川流域であり、河川を通じて琵琶湖とつながっている。周辺には八幡山がある。こうしたバイオリージョンの一角にあることを意識する。また、北側は近江八幡の市街地につながっており、反対側には農地が広がっている。こうしたものをうまく結びつけて、地域とエコ村とのwin-winの関係をつくり出す。
    地域生態系の中での位置づけ
    エコ村の計画地は白鳥川を通じて琵琶湖(湖沼生態系)とつながる。現在琵琶湖では、固有種の減少が問題になっているが、そうした固有種の産卵、生育の場をビオトープとしてエコ村につくっていく。また、八幡山をはじめ周辺の山々とつながる鳥類の生息地にする。その他、多様な生物の生息地としてエコ村を計画していく。
    地域水循環をつくる
    ・ 雨水を一気に流さずに、土壌に浸透させ、土壌の浄化を経た後に河川、琵琶湖に放流する。
    ・ 微気候を緩和する。
    ・ 豊かな生態系を確保する。
    有機物質の循環をつくる
    各家庭またはレストランから出される生ごみは堆肥化して、地域やエコ村の中の農園で利用する。地域の農家との間とも、農作物を通して連携することが重要である。
    人と人とのふれあいの場
    エコ村の中の人のふれあいだけではなく、中と外とのつながりを広げていく。
    ゾーニング
    上のようなことを想定して配置計画をした。二本の県道とつながる幹線道路。中央のビオトープは様々な生物の生息の場となると同時に、住民が集う場所として機能する。沿道に商業施設なども考えている。これらにより、人間活動と生態系が共存でき、また、経済や社会を活性化することを考えている。
    プライベートな空間を補うセミパブリックな空間を多様に配置したものにする。
    緑と共に、時間をかけて育てるエコ村
    エコ村が育っていくと全体が森になるようなイメージを描いている。しかし、その中では、人々の様々な活動が活発に営まれている。
  6. 小舟木エコ村から未来へ
    新しいライフスタイル・環境技術・ビジネスモデルの創造
    未来創造のしくみをつくる。エコ村がなぜ未来創造の場になるか。エコ村は環境共生のライフスタイルを求める場であること、自然環境と生活環境の二つを充実させるコミュニティであること、それを実現する過程で様々なテーマが生まれてくる。例えば、これまでにない汚水排水処理、次世代エネルギー、化学物質に触れることのないライフスタイル、健康管理、他にも様々な具体的なテーマが上がってくる。これらのテーマに取り組むには、モニタリングがきっちりとできる場所が必要である。エコ村は単に居住の場だけではなく、研究機能を有し、環境ビジネスコンソーシアムを組んで、新しいライフスタイル、ビジネスモデルなどをここから生み出す。未来創造とは、単に一歩進んだことをするのではなく、今のライフスタイル、今の社会をブレイクスルーして、新しい次の時代に移行すること。そういう芽をエコ村の中で生み出していくことであると考えている。

    計画実施スキーム

    様々に上がってきているプロジェクトはNPOでなければ実現できないもの、行政の協力を得て行うもの、ビジネスとして行うもの、様々である。基本的にエコ村は民間の力でつくっていくことを考えており、エコ村を建設する事業会社である株式会社地球の芽をつくった。NPOとしてはネットワークづくりやしくみづくりをしていきたい。いろんな力を合わせて小舟木のエコ村をつくり上げていきたいと考えている。

    小舟木エコ村から始まる

    小舟木のエコ村から新しい経済と環境と社会が共存共栄できる社会づくりの活動が世界中に広がっていく。今現在、この3つを共存共栄させる取り組みは、まだ世界にはないと考える。外国のエコビレッジでは、環境と共生する、居心地の良い居住地づくりに留まっている。それに留まらずに社会システムを変えていくという展望をもった実例を、小舟木から発信していきたい。
    幸い、近江八幡市、滋賀県、国の協力を経て、ここまで進んでくることができた。できるだけ早く事業の着手を行いたいと考えている。できれば平成16年度中には事業に着手できるように、関係機関との調整を続けていくつもりでいる。
15:00 パネルディスカッション「小舟木エコ村から提案する環境共生」

◎パネリスト

  • 林 昭男(滋賀県立大学名誉教授)
  • 若井郁次郎(大阪産業大学教授)
  • 花田眞理子(大阪産業大学助教授)
  • 藤田 知丈(エコ村居住希望者)
  • コーディネーター 仁連孝昭

(1) 4つのワークショップからの報告
若井:水ワークショップ
  • ガガーリンの「地球は青かった」の言葉に示されるように、地球は水の惑星である。その地球が少し病気になっている、少しというより重症。世界中で多くの人が水不足のために死んでいる。
  • 水は身近にあるもの、けれども粗末にしている。水は気体、液体、固体の状態に変化し、地球上を完全に循環している。世界中が水でつながっていると認識することが大切と考える。
  • 地域的に見てみても、琵琶湖の水の大きなサイクルがおかしくなってきている。道路は舗装され、雨水は一気に下水道や河川に流れ込む。
  • 20世紀はスピードの時代である。水は天からの授かりものではなく、浄水場で人がつくるものになった。我々はほとんど水を見ることなく、単なる生活の手段として使ってきたという反省点が出てきた。
  • 近年では、ゴミは積極的に分別して回収されるようになってきている。それは人間が作り出した物質は人間の力でリサイクルしようという強い意思があるから。一方、水は蛇口から出て、調理も、洗濯も、風呂も、トイレも全て一つに集めて、はやく家庭から押し流している。それが本当に人の生活を幸せにしているかどうかはわからない。そこが水ワークショップの出発点であった。
  • 水の健全な循環を取り戻す。中水(グレーウォーター)の使い方を考える。
  • 水道の水は非常に高価な水なので口に入るもののみに使う。トイレは不快感のないものであれば十分。そうした用途に合った水を使うことをエコ村で実現する。
  • 上下水のシステムと接続しないことも考えた。しかし、今、現実的には難しい面もあるので、上下水道を使いながら、未来への実験を行う。
  • 水を分別し処理し、もう一度生活の中で使う。
  • 雨水を溜めて使う。
  • 水をゆっくり流す、その過程で自然の力で浄化する。地下水を涵養する。
  • 微気候で暑さを緩和する。
  • 泥汚をエコ村の菜園で使う。
  • パイロット・プロジェクトとして環境共生型の技術で汚水を処理する区域をつくる。

花田:エネルギーワークショップ

エネルギーワークショップは、エコ村の暮らしの中で、環境共生型の技術でエネルギーに関する問題にどのように取り組むかをテーマに行ってきた。

  • エネルギー源の模索
    太陽光、太陽熱、風力などの自然エネルギー
    木質、産業廃棄物、家畜糞などの未利用エネルギー
    燃料電池のような新エネルギー
  • ライフスタイル・エネルギーの利用スタイルの見直し
    住む人、企業、NPO、研究者などが生活、活動の中で使っているエネルギーの収支を計測し、ライフスタイルやコミュニティ生活、活動を常に見直しながら、持続的に改善をする。

エコ村の目標
環境効率=パフォーマンス・利用価値・質負荷

パフォーマンスを2倍にし、負荷を半分にするとFactor4が実現する。
エコ村ではCO2排出量4分の1の目標を掲げているので、Factor8を実現することを目指している。

  • 電気、熱、動力エネルギー、いずれにしてもその源は化石燃料に頼らない。
  • 熱は熱で利用するのが一番効率良い。例えば太陽光でお湯を沸かす。
  • 少しのエネルギーで生活する。
  • 省エネ効率の高い機器、ヒートポンプなど高効率エネルギー利用機器の導入。
  • 昔の工夫を取り入れながら、生活の工夫を。
  • 周りの自然を利用する。建物の入口と出口に温度差をつけると空気が流れる。京都の町屋はその一つの事例である。自然の光を間接的に取り入れる。
  • 自然の素材(呼吸する素材)を使うことで温度調節をする。
  • 建物の周りに緑を配置する。
  • ビオトープ、周辺の山などを視点に入れた微気候の調節→村全体の設計が大きな役割を果たす。
  • 各戸でできること、コミュニティでできること、全体でできること、カスケード的にシステムを組み立てる。
  • エネルギーは地産池消、分散型がベター。里山の木質バイオマスを利用する、大中の牛糞からバイオガスをとるなど地域の特徴を生かすことも大事である。
  • 全体のエネルギー必要量の総量を利用サイドから設定する。
  • コミュニティごとに異なるエネルギー源を利用して、比較検討していくことも考えている。
  • 次世代エネルギー・新しいエネルギー源を積極的に利用していく。また、供給サイドだけでなく、利用形態についても新しいやり方を進んで実践し、それが生活質の改善に結びつけられるかを考えていく。

林:住環境ワークショップ
  • テキスト「環境共生住宅」を元に議論してきた。目標は、暮らしが環境に負荷を与えないこと、環境と親和性を持った住宅にすること、安全で快適な暮らしを実現すること。
  • 個人的に建築と環境のつながりを考え始めたのは、ほんの10年ほど前のこと。建築が、建てる・使う・壊す、というその一生の中で周囲に与える影響を考えるようになった。世の中の流れも、同じような方向に大きく転換している。
  • 一気に解決するのではなく、少しずつ取り組んでいくことが問われている。
  • 環境にやさしいライフスタイルが流行している。そういう暮らしをしていると似た者が自然に集まってくる。全国的にエコ村のような暮らし方を求めている人々も増えてきているように思う。小舟木は、そうした個々に暮らしの実験をしてきた人たちがつながり、総合的な暮らしのモデルをつくる場所だと考えている。
  • エコ村づくりは小舟木だけではない。他の地域、自分の家、全ての場所がエコ村の細胞のようなもの、基本的な考え方をそれぞれに受け止めて、実践してほしい。
  • 滋賀県にはエコ村になりそうな土地、里山と一体になったすばらしい地域がたくさんある。

藤田:生活者ワークショップ

環境と共生する暮らしがしたい。
エコ村にはどのような人が住むのかを住みたい者の意見として自由に述べる。

・ エコ村の生活・・・100%自給自足の村・昔に戻る生活・ヨーロッパの真似事のエコビレッジ・超ハイテクワールド?→そのどれもがYesで、どれもがNo。エコ村の傍観者になっている限り、答えは見えてこない。

・ 自分の考えるエコ村とは?

  • ディベロッパーやプランナーがデザインするのではなく、住人が自考自築、自分達でつくり育てる村
  • 家族や住区単位で各々のテーマを持って、各々にあった多様なエコ・ライフを自立的に楽しみながら追求していく村
  • 楽しみを分かち合うため、知恵を集積し、世界中へ発信、共有する場所になる

・ 私個人のテーマ

  • 現在は、仕事、生活、遊び、NPO活動(社会貢献)が分断化された暮らしからすべてが生活と接点をもつ、生活中心の暮らしへ。
  • 健康への漠然とした不安;今食べているものは安全か、住宅の塗料等でじんましんがでる、子供に簡単に抗生物質を処方する医者、買い物に行くと全て「抗菌コート」、川は危ない・汚いという生活から身土不二(体と環境は不可分)へその土地で採れた旬のものを食べる、それが一番省エネで、健康で安全。家族の健康から地域環境を見直す。
  • 100年後に残したいもの
    琵琶湖とその流域を元気にして残す。単に汚さないと言うのではなく、エコ村があることで周りが良くなっていく。川辺を森に、生き物との共生の場に、コミュニティ全体を林のように。
  • インターネットの電子会議で「こんなところに住みたい」を話し合った。その中から生まれた一つの提案として、縁側コミュニティのような住み方が出てきた。ここでは家を5軒分つなげることで、敷地に自由度が出る。仲間が集ってやっていきたい。エコ村は仲間集めの場だと考えている。
(2) ディスカッション

会場参加者の方から以下のような提案や意見が出され、活発な意見交換がおこなわれました。

  • 国際シンポジウムで、ベルナルド・リエター氏が、「陽の経済だけでなく、陰の経済も必要」とおっしゃっていた。ファクター4、win-winの関係などあるが、プラスの価値観だけでよいのか。
    共存共栄とあるが、他の生物も考えると、「共存共貧」であるべきではないか?
    江戸時代は理想的だった、しかし以前には戻れない、と言う話になるが、果たして前に進むだけでよいのか?
    「人間と生命に親和しない化学物質を適正に利用し」とあるが、これは一つの大きな選択。環境リスク論で、「逃れることができないから、どれを選ぶか」という選択をしたということか。
  • シックハウス解消のための竹炭の微粉ボード。鹿児島の孟宗竹。湿気が吸着されて良い。
    八幡瓦のかまが二つ残っているから、近江八幡産の竹を使ってつくることができる。
    「日本の木で家を建てよう」と言う運動もしている。
    水道の蛇口にも竹炭、雨水も竹炭でクリーンにして利用、農薬除去なども10年後くらいにはできる。
  • 「戻る」と言うことにマイナスイメージがつく。
    今後日本では確実に需要は減るし、少子高齢化する。しかし、動的な定常社会、伸びないけれど豊かになっていく、というやり方がある。お金や物質以外のものが増えることも、「栄える」の一つと捉えると、共存共栄もありえるのでは。これからの社会では、経済成長の中身が違っていくのだろう。
  • 希少物質、有害物質などをうまく管理できないシステムの中で使っているのが問題。抗生物質がやたらに簡単に処方されると言う話も聞く。使うのであれば、回収できる仕組みを持つべきである。
    リエター氏は、「貨幣の表が経済なら、社会は裏。両方健全でないとだめ」と言う意味でおっしゃっていた。環境に対する負荷をできるだけ減らして、人間的な価値を求める。
  • 「共存共豊」というのはいかがでしょうね?
    コミュニティ・ビジネスは地域の課題、問題を解決することをビジネスにする。Keyはネットワーク、コミュニティ通貨などで、周りとネットワークすることが必要なのではないか。なので、表のなかでコミュニティ・ビジネスが点線で囲まれている(エコ村の中でできることに分類されている)のが気になった。
  • ビオトープだが、どのような仕掛けや装置を考えているか。たくさんの緑が必要だろうが、そこでは鳥も害虫も出るだろう。ビオトープと周辺農業との関係はどうお考えか?
    それから、水は、上水を利用するのか、それとも地下水を使うのか。
  • 国産材を使ってほしいと言う声があった。コモンズもたくさん配置している。そうした場合、住宅の単価が上がってしまうのではないかと懸念している。小舟木は特別な地域だから、補助金などで対応できるかも知れない。しかし、今後その他の場所にできるエコ村は、日本全国の金持ちが暮らす場所になるのか?
    地域通貨はエコ村の中だけでしか使えないのか?地域通貨をためて、エコ村で家を買うときの足しにする、と言うことは可能だろうか。
  • 上水道は利用する。地下水は副として利用する、水の供給がストップしたときなどに役立つだろう。地下水については水質に関して調査が必要だろう。近年、微生物を用いてシンプルに浄化する技術も見直されている。ビオトープは生きものが生活していける空間、雨水の貯留場所にもなる。農業との関係に関しては、エアポケットだったか。
  • 自然の生態系を利用した暮らしをする。多様な植物が生息するため、害虫がいれば、害虫を食べる虫も出るだろう。害虫となる一種が優占することはあまり考えられない。実験しながら、一つずつ対応していく。
    公共の補助金に関しては、当てにせずに計画を立てている。もちろん、いただけるものは検討していくが前提とはしていない。確かに、エコ村での取り組みはコストに跳ね返る。規制を緩和することで、コストをできるだけ減らしながら、効率を上げていく。価格帯などは、まだ決定に至っていない。

小舟木エコ村から提案する環境共生について熱心な議論が交わされました。

16:20 閉会挨拶(小舟木エコ村推進協議会副会長・前田典夫)

(文責:エコ村ネットワーキング)