これまでの活動 2007年度

エコと福祉のフォーラム
持続可能性を求めて エコと福祉の共生フォーラム

日 時 2007年11月17日(土)13:00~18:30
場 所 酒遊館(近江八幡)
参加者 37名
主 催 社会福祉法人滋賀県障害児協会
NPO法人エコ村ネットワーキング NPO法人関西総合福祉研究
講 師 國松善次氏(前滋賀県知事)
仁連孝昭(エコ村ネットワーキング)
嶋川尚氏(滋賀県社会福祉協議会副会長)
飯田航氏(株式会社地球の芽)
コーディネーター 乗光秀明氏(滋賀県障害児協会)

環境と福祉の取り組みや政策、制度、活動について理解を深め 持続可能な社会づくりについて話し合いました。


第1部 シンポジウム
1.環境と福祉のこだわり

國松善次氏(前滋賀県知事)

環境は、自然と人そして地球規模の問題です。一方福祉は、地域や国、様々な人間が関わり、人間の豊かな幸せのコスト負担整合性を考えます。両者の共通点は、『共生』つまり生き物の命に関わっています。(1)地域での取り組み以外に解決策はない、(2)反省と工夫が必要になる、(3)様々なコラボレーションをどうしていくか、(4)世代間を含めて反省と工夫の積み重ねです。
『エコ村』はすばらしい舞台です。環境にこだわり、生活を通して福祉の問題も解決していく。その取り組みの情報収集や情報発信をしていく。エコ村で一つの例をつくってもらえるとありがたいです。

2.持続可能な社会をめざして

仁連孝昭(エコ村ネットワーキング)

滋賀県は囲繞地で、真ん中に湖、その周辺で農業や暮らし、工業などが営まれ、山に囲まれています。持続可能なモデルをつくるのに好い所だと思いました。2000年にNPOエコ村ネットワーキングを立ち上げました。一つの小さなエコ村をつくって、琵琶湖を中心とする滋賀から日本に、そして世界へ持続可能な運動を広げていきたいと考え、それに共感してくれる多くの人がいました。今年1月、近江八幡市小舟木で第1号が着工しました。エコ村をつくってきた背景をお話します。
現在、地球に棲む人間の生存基盤であるエコシステム資本の食いつぶしが行われています。自然のしくみを壊さない生き方を模索していかなければなりません。エコロジカル・フットプリントで試算すると、日本人はたくさんの自然を使いすぎています。CO2の排出、吸収の面からも、オーバーシュートが続いています。今や、環境負荷削減の積み重ねでは間に合わなくなっています。システムの転換が必要です。社会の原動力を経済から“生活の質へ転換”するのです。エコ村は、いいくらしをしようとする人が集まって棲む村です。生活の質を良くしていこうとする意欲ある人が集まる“しくみ”をエコ村からできないかというのが始まりです。

新たな発展の道の模索は、(1)フローを増やすことから、ストックを育むことに転換 (2)環境制約に合わせた資源利用のしくみをつくる (3)量的成長に替わる“質的発展”の方向への転換です。それを“自考自築”でコミュニティから始めたいと考えています。そして、みんなで分かち合えるアイディンティティとして『エコ村憲章』にまとめ上げました。
これからの時代は、炭素社会から脱炭素社会へ向かいます。水、土壌、森林などの基礎的資源を公平に利用する社会でなくてはなりません。また、脱物質社会をめざすとともに、地域の歴史、文化、生活と共存できる未来社会、人間の発達と人間社会の発展を保障する未来社会を展望していきたいと思っています。

写真での紹介:ビオトープ 自然エネルギーの利用 物質循環
コミュニティ原則紹介:アワニー原則
事例紹介:
ビレッジホームズ (カリフォルニア州)
シーサイド(フロリダ州)
アーバンビレッジ・パウンドベリー(イギリス)
ボーバン(フライブルグ)
バーリントン(ヴァーモント州)

私たちは経済で動かしていたエンジンを、生活の質で動かすように乗り換えていく。その場がエコ村です。

3.持続可能性のある福祉政策について

嶋川尚氏(滋賀県社会福祉協議会副会長)

スウェーデンは、1990年代も今も変わらない医療、年金、福祉(介護)のしくみが確立されてきました。しかし、日本は毎年改革・改悪が行われ、ケアがしにくいしくみです。また、住宅、就労、環境、余暇を社会保障の枠組みに入れて考える必要があります。
滋賀は、率先して福祉の取り組みがはじまりました。糸賀一雄氏の近江学園は、戦争孤児の救済から障害児・知的障害児の福祉に広がっていきました。その活動は、田村一二氏の茗荷村につながっていきます。さらにその後、障害児が地域で生活できるように無認可共同作業所に県が補助金を給付したり、大津市が早期療養に取り組みます。そして、国では平成1年ゴールドプランができ、翌年には社会福祉8法が改正されます。平成12年には社会福祉法が改正され、「地域福祉」という言葉が入ります。
しかし、近年の改正介護保険法、障害者自立支援法で福祉(介護)の現場は危機状況にあります。問題は財源をどうするかです。ケアワーカーの人件費にしわ寄せがきています。
国民は、大きな政府を選択するのか、小さな政府を選択するのか、その判断が問われています。幅広い住民参加でつくる新たな福祉体系が必要です。日本の福祉政策に住宅問題は含まれていません。欧米では入っています。ぜひエコ村で、高齢者や障害者が利用できる賃貸住宅を実現していただきたいです。

第2部フォーラム <淡海にエコ村を 淡海をエコ村に>

乗光秀明氏(滋賀県障害者協会)の進行により、飯田航氏(株式会社地球の芽)から小舟木エコ村の紹介がありました。続いて、エコ村づくりで何が期待されるのか? エコと福祉のコラボレーションとその限界について 第1部講師や会場参加者と意見交換が行われました。

記 録: エコ村ネットワーキング 北村
まとめ: エコ村ネットワーキング